ヘッドホンアンプ製作 LM386


製作作業 (2019-06-17)

「Lチカ」というのは超低周波(約20Hz以下)におけるモニタリング環境である。テスト開発環境、デバッグ環境とも言える。20Hzは20fpsということであり、このくらいになると我々は常時光っているのか、点滅しているのかが判別つかなくなる。人間の目のシステム(脳かもしれないが)、残像というものがあるからだろう。これはフィラメント電球が50Hzの交流電源で燃えたり消えたりするまでの、ほのかな余韻というか粘性のようなものだ。電磁気学ではインピーダンスとも言える。つまり交流における抵抗とか応答特性である。

さておき人間の耳というのは、目では感知できない周波数を補うかのように20Hzくらいから音として認識できるようになっている。これは偶然だろうか?他にも暑さを感じる赤外線センサもあったり、感触という超超低周波センサも備わっている。苦手なものをお互い補い合っているような複合システムが完備されているのだ。


音の周波数を扱う電子工作を実験する場合にはLチカでは限界があり、ヘッドホンアンプをどうしても作る必要があった。ヘッドホンでなくスピーカーで鳴らしても良いのだが、ヘッドホンモニターの優れているところは外部の音を遮音してくれるところだろう。防音部屋など作らずともその遮音性のおかげで、騒音にも負けず細かい音までモニタリングできるのだ。だから、ヘッドホンと言うのは密閉型に決めている。ヘッドホンにおける要求は、「モニタリング(遮音)> 音質」 なのだ。


この1週間はヘッドホンを鳴らすためのヘッドホンアンプに関して頭を悩ましていた。どの回路で、どのケーシングにすれば良いのだろうかと。オペアンプでヘッドホンを鳴らす回路も試した。しかしオペアンプには高負荷すぎないだろうか?オペアンプが100Ω以下の出力インピーダンスを持っていると言っても、32Ωから存在するイヤホン、ヘッドホンを鳴らすにはなんだか不安である。それでも秋月では堂々と売られているオペアンプのヘッドホンアンプキット、不思議だ。

結局386を使用したヘッドホンアンプを作ることにした。386は昔、BTL接続でのオーディオアンプを作ったことがある石だ。



公式のデータシートや巷の回路図を参考に組み立てた。カットオフ周波数を数Hzにするため、入力のコンデンサは10μ、出力は1000μにした。データシートに書いてあるスピーカーと並列に挿入されている0.047μと10Ωを省略して回路を組み立てた。しかし、稼働してみると突然ノイズが生じる現象に見舞われた。結局あとからデータシートの通り付け足すこになった。抵抗値は100Ωでも良いのではと思うかもしれないが、8Ωのスピーカーだと抵抗値を10Ωくらいまで低くしないと発振してしまう。

386をヘッドホンアンプとして使うと、アンプの持つヒスノイズが多少気になるかもしれない。無音時でのサーっというノイズだ。ゲインを減らす回路にしても消す手段は見つからなかったので諦めよう。

さて、感光での基板制作は何度かやったことはあるが今回のようにレジストペンは初めてである。千石の地下で購入したレジストペン。なかなか探せ出せなかったレジストペン、男性スタッフに訪ねたが彼もどこにあるのかわかっていない様子。今時、レジストペンなど使われていないのだろうか?ところが、やる気のあるんだか無いんだかわからないオネーちゃんが、「コレだよ」と一発で見つけてくる。千石の地下は深いと思った。

パソコンでは回路を設計すれば配線パターンを自動で最適化してくれるソフトがあったが、自分で配線パターンを組み立てるというのは初めて。なかなか大変な作業であった。パズルを組み合わせるような作業、なんどもやり直す。方眼紙とトレーシングペーパーは必須だ。最初は苦痛だったが、コツをつかむとなかなか楽しい作業かもしれない。

回路が決定したら、位置決めして基板に穴を開ける。クレンザーの代替で歯磨き粉とたわしで基板表面の油分とバリを落とす。レジストペンで配線を塗り、その後エッチングに入る。エッチング、つまり銅を腐食する作業。非常に簡単だ。塩化第二鉄水溶液を湯煎で40度くらいに温め、基板を入れてゆらゆら動かす。10分ほどでレジストペンで盛られていない部分の銅がキレイに落る。黒盛りのレジストペンはアルコールで拭けばキレイさっぱり。

その後、生の銅で半田づけ。不精な私はフラックスは塗らない。はぐれメタルのように、平べったく半田が広がっていく。フラックスを塗った方が、表面張力で必要最小限の半田付けができるのかもね。

さてさて、9V電池が1/3を占める細長いケースに電子回路が収まるかどうか不安だったがなんとか完成。ポケットにも入るようなサイズでかなりコンパクトだ。8Ωのスピーカを繋げられるだけのことはある、音のパワフル感が半端ない。iPhoneから直で繋げば良いはずのイヤホン端子も、いちいちヘッドホンアンプを通してみる。

iPhone直で繋いで音量を上げると、硬い音で高音が痛々しくなるが、ヘッドホンアンプを通すとそうはならずパワフル感を増強してくれる。





私の電子工作の開発環境 (2019-06-19)




ところで上の写真はちょっとしたオペアンプの回路実験。大げさだと思われるだろうか?

しかし補助機材なしにブレッドボードだけで実験しようとしていたら、もっと配線が大変でワケワカメになっていたことだろう。そしてそのような実験を今後、何百回やったとしたらどうだろうか?

パラメーターを変えるために部品をチマチマと入れ替えなければならない。そういった無駄な作業を省くためにひたすらディケイドボックスを作ってきた。制作したこのディケイドボックスは10Ω〜1Mまでのを10Ω単位で可変できる。この苦労の見返りはとても大きいと実感した。そしてなによりも、テスタなどを使わずに可変抵抗の数値を読み取れてしまうのだ!⚡️

さてオペアンプ、交流回路を扱う実験。交流回路というのはDCとは異なり電源からして厄介だ。電源は当然3端子ある。それに基準電位をアースにするのかバイアスにするのかで話が変わる。

単一電源を使って交流を表現したい場合は、バイアスが必要になるだろう。具体的には9V電池の場合、10kΩで分圧する。真ん中をバイアスとして仮想的なGNDにする。9Vを1/2すればバイアスは4.5Vのはずなのだが、仮想空間の中ではアースとみなせる訳である。つまり0V、本来の0Vであるはずのアースがバイアスの掛かった世界では-4.5Vに追いやられるのだ。だからバイアスというのはオレオレアースとも言える。

大塚先生の本を見返していたら、アースというのが地域によって差があるということを知った。面白いことにボストンとフィラデルフィアではアースに電位差があるというのだ。もし全ての地上が0Vとして扱えるならば信号を伝えるには一心ケーブルで良いはずだ。情報を伝達するには一本の銅線だけでよいということ。しかしそうもならないというのは、地域によって地上のアースに電位差があるからだ。



ボストンとフィラデルフィア。これほど近い距離でGND電位差が無視できないというのは面白い。

何の話だったか分からなくなったが、ブレッドボードへオブジェクトをインジェクションしている写真。これはプログラミング開発からの発想をアナログへ転換したものだ。





電磁波からのシールド対策 (2019-06-22)


手持ちのWimaxをヘッドホンアンプに近づけた時の映像である。




ルーターからはかなり強いパルス波を確認できる。iPhoneやiPadでも同様に強い電波を発している。機内モードにすることでようやく電磁波はなくなったが、ペースメーカーや航空機などのシビアな世界では深刻な問題になりうることは頷ける。それにノイズは音響の世界では邪魔な存在でしかないのだ。

電磁波の影響を受けやすいのは、機材の動作が低電圧、ハイインピーダンス受けになっているからだと思う。小型で省電力のシステムを作るにはどうしてもそうなってしまうのだろう。となると悪意を持ったものが強いパルス電波を送信すれば、システムダウンなんて簡単にできてしまうのではないだろうか。そんな脆いシステムの世界に我々は生きている。

さて、電磁波の対策としては機材をシールドすることである。上限電圧が低くて、受け側のインピーダンスが高ければ、金属シャーシで外部の電磁波をシャットダウンするしかない。(いや、インピーダンスマッチングという方法もある。しかしそれは外部ノイズに対して充分電力が高い伝送の場合に言えることではないだろうか。一方でデジタル通信にする方法もあるだろう。そもそもデジタル通信はこのようなアナログ的長所と欠点を引き換えにした技術とも言える。欠点と言うのは、デジタル技術がアナログデータの一部を取り出すからだ(サンプリング)。これは無理数を近似の有理数に置き換えていることに近い。そしてアナログデータを完全にデジタルで表現することは永遠に不可能だ。そう言う意味での欠点ではあるが、必要十分という言い方もできる。またデジタルの長所としては信号がパルス信号(0か1)で良いので、アナログより圧倒的に外来ノイズに強い。)

ところで動画の自作ヘッドホンアンプはABSのケースだ。いわばプラスチック。シールドはゼロなのでノイズを受けやすいのは当たり前だ。しかし音を扱う低周波回路だから大丈夫だろうと思っていた。ここまで外来ノイズを受けやすいとは思わなかった。ABSケースに加え安物のケーブルを使っている。安物のケーブルはコネクタ部分がシールドされていなかったりする。そこからも外部ノイズは容赦無く降り注ぐのだ。

これはまるで、少しでも穴が空いたら沈んでしまう潜水艦のようだ。映画、Uボートの世界を彷彿させる。しかし、潜水艦はバラストタンクという穴にあえて水を入れて沈むことができるともいえる。そう、己の欠点を逆手にとっている技術なのだ!無線通信でも同じことが言えるのではないだろうか?あえて外部ノイズを受け入れることで通信しているということは、まさに潜水艦と同じ構図!善と悪は紙一重の世界だったのだ!

では音響の世界はどうだろうか?そこは1ミリも外部ノイズを受け入れてはいけない世界。排他的で、神経質きわまりない世界なのだ。orz

話は戻って、ABSシャーシでもなんとかシールド処理を施そうと考える。すぐに電導塗料が思い浮かぶが、値段は高いし量も少ない。ABSシャーシなどのコスパ志向なケースには明らかにミスマッチな塗装だろう。あれこれ考えているうちに亜鉛めっきスプレーをホムセで発見。これを使えないだろうかと思い1500円で購入した。プラスチックに亜鉛めっきを塗布するわけだから、金属の化学反応は起こらない。つまり正確にはめっきとは言わないのかもしれない。そんなことはさておき塗装してみたのが次の写真。



シャーシをサンドペーパで軽く磨いて荒くしてからスプレーした。乾燥するとマットな灰色になる。そのままでは導電性はない。しかし少し磨くと光沢が現れ、数センチ間の抵抗を測るとメガΩ単位の数値を示す。でもコレではシールド効果はなかった。もしかしたら放射線や紫外線などのもっともっと高い周波数の電磁波には有効なのかもしれない。


さて、次に試したのがアルミ箔。Wimaxをアルミ箔で二重に巻くと、電波を受信できなくなる。つまりシールドできているのだ。当然そのようにするとインターネットにも繋げなくなるのでWimax本体をシールドするわけにはいかない。雑ではあるが下の写真のように、アルミ箔をボンドでシャーシ内に貼り付けてみた。結果をいうとコレもダメであった。そもそも動画はアルミ箔を貼り付けた後の映像だ。




さて、こうなると頭が混乱してくる。Wimaxをアルミ箔で巻いた時はシールドできたのに、なぜシャーシに貼り付けるとシールドできなくなるのだろうか。🤢

すこしの隙間からノイズを拾っているとしか考えられない。低周波は迂回するということなのか?潜水艦を思い出してみる。つまり少しでも穴があったら水はそこから入り込む。これは電気に例えると何を意味するだろうか?

隙間というのは直流に弱い。潜水艦を取り囲む海水というのは直流に例えられるだろう。つまりは無限大に周波数の低い交流とも言える。そう、直流というのは交流の特異な状態なのだ!だからいくらアルミでシールドしても少しでも隙間があったら、低周波の電波ノイズにおいては水のごとく浸水してしまうのではないだろうか?

しかしWifiって2.4Gだとしても低周波なのかぁ?5Gよりは2.4Gのほうが壁など迂回しやすいから遠くまで届くというのは実感でもあるけれど。うーん。🤔AM変調のように考えれば、パルスとして聞こえる音の中に情報が詰まっているのだろう。そのパルスとしてのまとまりとしては低周波として考えられる。いや、そういうことではないかも。2.4Gなりの電磁波が回り込んでいるはずだ。もうワケワカメ。