抵抗のヲタクな話し〜電子工作入門〜

抵抗のヲタクな話し
抵抗のヲタクな話し

私が電子工作をはじめてから20年ちかく経ちました。20年前に秋葉原へ通っていた頃と今では、電子部品店の客層がずいぶん変わったような気がします。いわゆるヲタク男子だけでなく、若い青年やサラリーマン、女性までもが電子部品をふつうに買う時代になりました。おそらく、ラズパイやArduinoなどのIoTブームの影響でしょうか。電子工作をやられる方が増えていくのはうれしいかぎりです。

さて、この記事では電子工作好きなヲタクの私が経験してきた「抵抗」に関する知識をお伝えしたいと思います。電子工作のありとあらゆるところで登場する抵抗ですが、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。抵抗のカラーコードの読み方から、使い方、精度、耐圧の話しなどなど、抵抗についてわかりやすく解説しました。

この記事が、みなさんの電子工作に役立てば幸いです。

はじめに

はじめに、電子回路に詳しくなる本を紹介します。

▼ こちらの「電気実用講座」という本です。前半は電圧、オームの法則、抵抗、コンデンサといった超基本なことに紙面を割いていますが、学校では教わらなかった深い話がつまっています。後半では、インピーダンス、アンプ、トランジスタ、オペアンプなど、交流の低周波信号を扱うために必要な知識を一通り学ぶことができます。

元文系の著者ということで、むずかしい数学の話はほとんどなく、音響やエフェクタの世界を中心とした現場でのためになる話が盛りだくさんです。専門書的な価値だけでなく、読み物としても素晴らしいです。もしあなたが、電子工作が大好きでさらに探求していきたいと思うならば、この書籍は大いに役立つことでしょう。自分もこの本なくしては、今でも電子工作を続けていなかったかもしれません。ぜひご参考になさってみてください。

また、本記事の抵抗以外の電子部品については、よく使う電子部品の読み方〜電子工作入門〜でまとめてありますので、ご参考になさってみてください。

抵抗のカラーコードの色と数字

電子工作でよく使われる固定抵抗は、カーボン抵抗と金属皮膜抵抗です。ここでは、それらの抵抗値の読み方を説明します。

抵抗器にはカラーコードと呼ばれる帯がマークされています。これらの色はそれぞれ、次の数字が対応しています。いっぺんに覚えようとすると大変です。電子工作をやっているうちに、よく使うカラーコードがなんとなく頭に入ってくるのでそれで十分かと思います。

数字1234567890

また、抵抗器のカラーコードの一番端は精度を表す色になっています。

精度
1%
5%
10%

一般的によく使われるのは茶色と金色の2つです。カーボン抵抗は精度が5%以内ですので、カラーコードの一端が金色になっています。通常の電子工作で使用する抵抗は、精度5%以内の抵抗でまったく問題ありません。カーボン抵抗のカラーコードは4本の帯であらわされます。

一方で、金属皮膜抵抗も好んでよく使われます。こちらは高精度抵抗であるのがふつうで、精度は1%以内で茶色の帯となっています。

四本帯の抵抗のカラーコードの読み方

カーボン抵抗値に使われる、四本帯のカラーコードの読み方を説明します。

220Ωのカーボン抵抗
220Ωのカーボン抵抗

図のように、精度の帯を右側になるように置いて、左から第一帯がはじまります。四本帯のカラーコードでは、第一帯と第二帯が実数となり、第三帯は乗数となります。

よって、図のカラーコードは「赤赤茶金」ですので、次のようにして計算されます。

$$22 \times 10^1 = 220[Ω](5\%)$$

第三帯でも金や銀が使われる場合があります。第三帯で金は、\(10^{-1}\)、銀は\(10^{-2}\)を表します。

五本帯の抵抗のカラーコードの読み方

カラーコードが5本帯あるものは、精度が1%以内の高精度抵抗となります。第五帯の精度のカラーコードは茶色です。

47kΩの金属皮膜抵抗
47kΩの金属皮膜抵抗

五本帯のカラーコードでは、第一帯から第三帯までが実数で、第四帯が乗数となります。

図のカラーコードは「黄紫黒赤茶」ですので、四本帯と同様に、次のようにして計算します。

$$470 \times 10^2 = 47k[Ω](1\%)$$

さて、高精度抵抗では片方の帯が茶色ですので、第一帯も茶色の場合、どちらが精度の帯かわからなくなってしまいます。精度の帯はじゃっかん太めになってますので、それを基準に判断しましょう。

抵抗器の最大消費電力

抵抗には、かならず最大消費電力が定められています。一般的な電子工作なら1/4W(0.25W)の定格で問題になることはほぼありません。消費電力の多いオーディオアンプのような回路では、この最大消費電力の定格に気をつけます。

心配な場合は、抵抗にかかる電圧Vや電流Iと抵抗値Rを使って消費電力を計算しておきましょう。

\(P = VI\)、\(V=IR\)より電力は次の式で表せます。

$$ P = I^2R = \frac{V^2}{R}$$

最大消費電力の大きい抵抗器

最大消費電力が大きい抵抗器として、巻線抵抗器、ホーロー抵抗器、セメント抵抗器、メタルクラッド抵抗器などがあります。耐圧容量が数十ワットの大きさですから、実物サイズもカーボン抵抗より大きなものになります。値段も安いものから高価なものまでさまざまです。

これらの抵抗は、オーディオの世界でよく使われています。スピーカーのネットワーク回路に入っていたり、オーディオアンプの出力先にスピーカーのかわりにダミー抵抗器をつないで実験したりします。

▼ ちなみに、私が愛用しているスピーカー「ALTEC 604-8H」のネットワーク回路では、セメント抵抗が使われていました。

ALTEC 604-8Hのネットワーク回路
ALTEC 604-8Hのネットワーク回路

定格オーバーしたら恐ろしいことに

1/4Wの100Ωの抵抗器に、9Vの電圧をかけ、抵抗器に定格を超えた消費電力を与えてみました。

100Ω(1/4W)の抵抗器に9V電圧をかけたら300℃以上発熱した
100Ω(1/4W)の抵抗器に9V電圧をかけたら300℃以上発熱した

計算すると0.81ワットの電力が抵抗にかかってることになります。電力を計算してみると次のとおりです。

$$ P = \frac{V^2}{R} = \frac{9^2}{100}=0.81[W]$$

0.81ワットの消費電力となりました。この抵抗の最大消費電力は1/4ワット、つまり0.25ワットですので、定格を大幅にオーバーしています。抵抗器が焼け切れることはなかったものの、300℃以上の温度に達しテーブルに焦げのあとがついてしまいました。決して真似はしないでくださいね( ˊᵕˋ ;)💦

たかだか9V電池でも、このように定格を守らないと危険なことになります。

【大きな耐圧の抵抗を作る裏ワザ】
抵抗を並列にして、最大消費電力の定格を上げることができます。たとえば、抵抗値が同じ抵抗(1/4W)を並列にすると、最大消費電力は1/2Wに増えます。
具体例として、470Ω(1/4W)の抵抗を4つ並列にしたとき、合成抵抗値は約118Ω、最大消費電力が1Wの抵抗器を作ることができるのです。

抵抗値が中途半端なワケ

ところで、抵抗値が半端な数字の多いことに、不思議に思ったことありませんか?実は、抵抗器やコンデンサなどの値は、E24系列という数字の配列で決められています。

E24系列の数字は、「1.0/1.1/1.2/1.3/1.5/1.6/1.8/2.0/2.2/2.4/2.7/3.0/3.3/3.6/3.9/4.3/4.7/5.1/5.6/6.2/6.8/7.5/8.2/9.1」の数列になります。

これらの値がどうやって決められたのかは定かではありません。抵抗器では、これらの数値をもとに乗算してさまざまな抵抗値が作られています。

初心者のための抵抗のそろえ方

E24系列の中から、電子工作でとくによく使うものをあげておきます。

E24系列抜粋よく使う抵抗値[Ω]
1.0★100、1k、10k、100k、1M
1.21.2k、12k、120k
1.51.5k、15k、150k
1.81.8k、18k、180k
2.2★220、2.2k、22k、220k
3.3★3.3k、33k
4.7★470、4.7k、47k、470k
6.86.8k、68k
8.28.2k、82k

これらの値の抵抗器を、100Ωから1MΩのあいだで持っているとほとんどの電子回路で困らないでしょう。

全部そろえてなんかいられないという方は、★のついている数列のものから優先してそろえていくと良いとも思います。★の抵抗があれば、直列接続や並列接続の合成で他の抵抗値を代用できます。

▼ 電子工作初心者の方であれば、はじめはこちらの商品のように抵抗器セットを購入されると良いでしょう。10Ω〜1MΩの金属皮膜抵抗が各20本、合計600本セットになっています。

電子工作を進めていくうちに、自分がよく使う抵抗がわかってくると思います。その時になったら、よく使う抵抗をピンポイントで大量購入するとよいでしょう。

【コラム】えんぴつで抵抗器を作ってみよう

カーボン抵抗器は、その名の通り炭素でできています。えんぴつの黒鉛は、炭素からなる鉱物ですので、えんぴつで抵抗が作れちゃうんです。ぜひ、お手持ちのえんぴつで実験なさってみてください。

えんぴつと白紙を用意して、色濃く塗るだけです。えんぴつはできれば2Bなどの色が濃いものが良いです。テスターで測定してみると、しっかり抵抗値が表示されると思います。スライドすれば可変抵抗になりますので、発振器と組み合わせてテルミンのような楽器が作れそうですね!えんぴつで抵抗器が作れるなんて面白いと思いませんか?

えんぴつで作った抵抗器
えんぴつで作った抵抗器

【コラム】拡大レンズのすすめ

抵抗のカラーコードはとても小さく、読み取りにくいです。肉眼で読むのは効率がわるいですし、読みまちがいもしやすいです。そこで、電子部品を扱うときは、拡大レンズを使うことをオススメします。

私がいつも使っているものは、Vixen ルーペとスマホ用のマクロレンズです。どちらもカラーコードをはっきりと見ることができます。

Vixenのルーペとスマホに装着するマクロレンズ
Vixenのルーペとスマホに装着するマクロレンズ

▼ Vixenは10年近く使っていますが、まったく錆ることなく使えています。折りたためるデザインもカッコイイよいので気に入ってます。

▼ スマホ用のマクロレンズはこういったものです。百均のものとくらべると、画質が格段に良く歪みも少なくないです。スマホにマクロレンズを付ければ、動画や写真も撮れますのでオススメです。

▼ ちなみに、スマホレンズが好きすぎてこんなこともやってます。よかったら覗いてみてください。

▼ 他にも、私は使ってませんが、ハズキルーペという選択もありかと思います。手が塞がらないので、細かい作業に向いています。

チップ抵抗の読み方

チップ抵抗
チップ抵抗

現代の電子基板では、電子工作で使われるようなカラーコードの抵抗器が使われるのはめずらしく、写真のような超小型のチップ抵抗が主流です。電子工作ではあまり使われませんが、チップ抵抗の読み方の例をご紹介しておきます。

表記抵抗値計算方法
10011kΩ$$100 \times 10^1$$
47347kΩ$$47 \times 10^3$$
4724.7kΩ$$47 \times 10^2$$
4700470Ω$$470 \times 10^0$$
4R74.7ΩRを小数点に置き換える

抵抗を使った回路

「オームの法則」「直列接続」「並列接続」のたったの3つのを理解しておけば、あらゆる抵抗回路に困ることはないでしょう。ここでは、それぞれをカンタンに触れておきたいと思います。

オームの法則

オームの法則
オームの法則

抵抗Rに電圧Vをかけた時に流れる電流をIとすると、次の式のとおり「オームの法則」が成り立ちます。

$$V = RI$$

$$I = \frac{V}{R}$$

$$R = \frac{I}{V}$$

抵抗の直列接続

抵抗の直列接続を説明します。

抵抗の直列接続
抵抗の直列接続

図のように、2つの抵抗\(R_1\)、\(R_2\)を直列に接続した場合、その合成抵抗\(R\)は次の式で表すことができます。

$$ R = R_1 + R_2 $$

抵抗の並列回路

抵抗の並列接続を説明します。

抵抗の並列回路
抵抗の並列回路

図のように、2つの抵抗\(R_1\)、\(R_2\)を並列に接続した場合、その合成抵抗\(R\)は次の式で表すことができます。

$$ \frac{1}{R} = \frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2} $$

ただし、\(R_1 = R_2\)が成り立つ時、Rは次の通り簡潔に計算できます。

$$ R = \frac{R_1}{2}= \frac{R_2}{2} $$

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