3極端子のイヤホンマイクの制作|ビデオ通話、ZOOM会議などで使える【自作マイクの道②】
LINEやSKYPEなどのビデオ通話、ZOOM会議などで使える自作イヤホンマイクの作り方をご紹介いたします。ECM(エレクトレットコンデンサマイク)をプラグインパワーで駆動させます。3極端子のイヤホンマイクなので専用のアダプタが必要になりますが、ヘッドホンやイヤホンなども繋ぐことができますので相手側の音声も聴くことができます。ぜひご参考ください。
はじめに
パソコンやスマホなどに採用されている3.5mmイヤホンジャックの規格は通常4極タイプのものが現在は主流かと思います。4極タイプのものは通常、ステレオ出力とマイク入力、それにGNDのために配線されています。
その中でもスマホではCTIA規格とOMTP規格が混在しており、マイクとGND端子が逆になっているものがあります。iPhoneをはじめとするスマートフォンのほとんどはCTIA規格ですが、一部の機種ではOMTP規格であるため注意が必要です。
スマホの4極端子で使える自作マイクの作り方は、下記の記事で詳しく解説してますのでここでは詳しく触れません。
ここでは3極端子のマイクを解説していきます。
つかうもの
この記事でつかうものをご紹介いたします。
ヘッドホン・マイク分岐ケーブル
3極端子のマイク制作にあたって、次のようなヘッドホン・マイク分岐ケーブルが必要になります。
イヤホンジャックのあるスマホや、MacBookなどのノートパソコンでつかうことができます。イヤホンジャックのないiPhoneでも、Lightningイヤホン変換アダプタを使えば利用できます。
ECM(エレクトレットコンデンサマイク)
ピンマイクやモバイル機器に使われるマイクロフォンのほとんどは、ECMというコンデンサマイクです。小型化できて扱いやすく、音質もそこそこ良いです。ECMには様々な種類がありますが、今回は音質に定評のあるWM-61A相当品を使用しました。秋月電子通商さんで購入することができます。
少量ですが、在庫をメルカリでも販売してますのでご検討ください。
その他
その他に3.5mmの3極端子オス、2芯ケーブル、銅箔、熱収縮チューブなどを使用しました。
3極端子のマイクって?
さて、マイク信号なのに3極って不思議と思われるかもしれません。3極タイプのマイクはスマホやパソコンのイヤホンジャックへ直接挿すことはできません。必ずスピーカーとマイクを分岐するアダプタが必要となります。
3極端子のマイクジャックは、次のような構成になっています。
T (Tip) | R (Ring) | S (Sleeve) |
---|---|---|
MIC | MIC | GND |
MIC端子が二つもあってステレオなの?と思われるかもしれませんが違います。二つのMIC端子はアダプタ内でショートしており、MIC端子は同じ信号を意味します。そのため、2極のモノラル端子だと構造上、MICとGNDがショートしてしまいます。ですから自作する場合は、3極のステレオミニジャックが必要になります。
ECM選び
ところでECMカプセルには様々なモノが売られています。基本的にECMカプセルは安いのですが、ちょっと高いものもあります。こちらのWM-61Aは2つで1500円近くします。実は、WM-61Aとは以前にパナソニックが製造していたECMカプセルでして、音質に定評がありネット界隈でになっていました。しかし残念ながら製造が中止されてしまったため、市場になかなか出回らなくなってしまいました。そういうわけもあって少し割高になってるのだと思います。
秋月電子通商でWM-61A相当品なるものが販売されてますので、それを使いました。パナソニックのWM-61Aの音質とどれほど違うのかはわかりませんが、他のECMと比べるとパワフルな印象がありました。また直径が5mm程度で、他のECMより約半分ほどの小ささです。
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他にも、一般的なECMであればこの記事の内容で動作します。ECMを変えて音質の違いを確かめてみるのも面白いかもしれません。
ECMの仕組みについてはこちらの記事をご参考ください。
外部マイクとプラグインパワー
スマホやパソコンで外部マイクとして認識させるためには、ちょっとした工夫が必要になります。それは、MICとGNDの間に数kΩ(1kΩ〜8kΩ)程度の負荷がかかると外部マイクが認識するようです。詳しくはこちらの記事がとても参考になります。
MIC端子とGNDの間に6.8kΩの抵抗をつないでみたところ、手持ちのスマホでは外部マイクとして認識されました。その時、6.8kΩの両端に2V程度の電圧が掛かっていました。これはプラグインパワーと言って、外部マイクなどに電源を供給できる便利な仕組みです。本来はECMを動かすには別途電池が必要でしたが、プラグインパワーを利用すれば外部電源を必要とせずにECMを利用することが出来ます。
下図は自作マイクの回路図例です。6.8kΩの抵抗をECMと並列にはさんでいますが、この抵抗はなくても動作します。2.2kΩの抵抗はECMへの電源供給の抵抗になります。この抵抗の値を変えると、ECMの出力の大きさも変わります。音量が大きすぎると思ったときは、2.2kΩの抵抗を少し大きくしてみてください。
直接イヤホンジャックにさせる4極端子で作る自作マイクの記事もご参考になさってみてください。
ヘッドホンも使える3極の自作マイクの完成
先ほどの回路図内の6.8kΩを省略し、2.2kΩの抵抗を1kΩに変更して、3極端子の自作マイクを作ってみました。ヘッドホンを繋いで音声通話が可能になりました。
気になる音質ですが、こちらの動画でご参考いただけます。ただし、動画の音声は4極端子版です。といっても、ここで作ったマイクとほとんど違いがありませんので、ご参考になさってみてください。
スマホの内蔵マイクは、環境音を拾いやすく、高音がシャリシャリしていて少しうるさい印象でした。また、スマホのボディの共振によるためでしょうか?水中や金属箱の中にいるような音質が気になります。一方で、自作マイクは非常にフラットな音質です。プロっぽい録音感といえば良いでしょうか?なかなか良い感じです。
自作マイクを作るのに自信がないという方は、素直に製品のマイクを選びましょう。低価格でも完成度の高い製品が買えますから、オススメです。
音質をグレードアップ
実はここまで紹介したプラグインパワーによる方法は、ECMの性能を十分に発揮できません。プラグインパワーで供給される電圧は低すぎるからです。ECMの性能をフル発揮させると、高音質で録音することができます。その場合はぜひ、ファンタム電源で動かしてみましょう!やり方を下記の記事で解説してます。ぜひ、ご参考になさってみてください。
また、ピンマイクを外で使う場合には、風切り音のノイズ対策も必要になります。ウィンドジャマーというモフモフをマイクに被せることで、驚くほど嫌な風のノイズを除去できます。こちらの記事もあわせてご参考になさってみてください。
自作ピンマイクの販売のお知らせ(メルカリ)
高音質のピンマイク(ラベリアマイク)をメルカリで販売しています。スマホのプラグインパワーで使える、4極端子のピンマイクです。ECMにはFour-leaf社のEC-H600や、WM-61A相当を使っています。ノイズ対策、音質ともに良好です。ケーブル長さは約2メートルで、ちょうど使いやすい長さです(他の長さがご希望の場合はご相談ください)。
▼ こちらの動画でピンマイクの音質をご視聴、比較いただけます。