ハンドメイドのトレモロ TREMOLO!! 〜自作エフェクターペダル製作

ハンドメイドのトレモロ TREMOLO!! 〜自作エフェクターペダル製作
ハンドメイドのトレモロ TREMOLO!! 〜自作エフェクターペダル製作

COLORSOUNDのTREMOLOをコピーして製作を試みたのですが、LFO部分が安定して発振せず失敗に終わりました。ディスクリート回路なので原因追及に時間がかかりそうだと思い、いっそのことゼロからトレモロ回路を設計してみました。発振部分はオペアンプを採用したことで安定したLFO発振が得られました。またFETによる電子ボリュームでトレモロサウンドを実現しました。ヴィンテージ風のシンプルな回路で自作もしやすいと思います。ぜひご参考ください。

本記事で紹介するトレモロエフェクターは下記ページで販売中です!

トレモロの原理

トレモロ自体の原理はまったく難しくありません。「一定の周波数」で「電子的に音量を大小コントロール」すれば良いのです。トレモロは振幅変調(AM: Amplitude Modulation)とも呼ばれます。 「一定の周波数」部は、LFO(Low Frequency Oscillator)の発振器が使えます。「電子的に音量を大小コントロール」部はいろいろ方法が考えられますが、ここでは出力の音量を電子ボリュームで制御してトレモロサウンドを実現させています。

TREMOLO!! V1.0

試奏動画

完成したトレモロエフェクタ「TREMOLO!! V1.0」のサウンドをこちらの動画でご視聴いただけます♪

回路図

TREMOLO!! V1.1 の回路図
TREMOLO!! V1.1 の回路図

上段のFET Q1は、ギターエフェクターでよく使われるバッファ回路です。バッファ回路の詳しくはこちらの記事をご覧ください。

バッファ回路の出力をRV2の可変抵抗で音量調整をするボリューム抵抗です。このボリューム抵抗に加えてQ2を使って電子的にボリュームを操作することでりトレモロ効果を生み出します。つまりバッファを通してその出力の音量を制御するだけですので、余計な音色変化をしない原音に忠実なトレモロ効果が特徴です。

下段のオペアンプ二つでは三角波のLFOを生成しています。LFOをQ2へ入力し、ドレイン-ソース間の抵抗値を変化させます。ゲートの入力電圧で変化するVCR(ボルテージコントロール抵抗)です。

オールドエフェクタの回路と同様、可能な限り余分な部分を省略しています。そのために出力インピーダンスはそれほど低くはありません。ギターアンプやHi-Z入力へ繋ぐ場合は問題ありませんが、録音機材に直結する場合はDIやバッファを通すことをオススメします。

最後に、一番左下の回路はバーチャルグラウンド(VGND)を作りつつ、電源を安定化するための回路です。

この回路では電源を入れた後しばらくLFOの発振が出力に乗ってしまいます。そのためQ2のゲート-ソース間に安定化抵抗を入れることをお勧めします。

LFO(三角波発振器)について

この回路の定数では理論上、約2.7Hz〜9.5Hzの範囲でLFOの周波数をコントロールできます。

LFOの周波数範囲をもっと広げたい場合は、例えばR4を10kにして、RV1に100kBを使用すると周波数変化が1.9Hz〜20.8Hzへと広がります。

R9の右側をオシロスコープで観察すると次の写真の波形がみられました。だいぶ歪んだ三角波ですが、聴覚上はトレモロに聴こえるので問題ないとします。LFOの周波数範囲も2.95Hz〜10.5Hzなので、ほぼ理論通りでした。

LFOの観察
LFOの観察

三角波発振器の周波数を計算する方法は、こちらの記事で解説してますのでご参考ください。

三角波発振器の回路図
三角波発振器の回路図

上図の回路図における三角波発振周波数の計算式は次のとおり。 $$ f = \frac{R_b}{4CR_aR_c} $$

完成エフェクター

TREMOLO!! V1.0
TREMOLO!! V1.0

V1.0ではCOLORSOUNDのTREMOLOを意識して、デザインも似たような感じにしてみました。TREMOLO!! V1.0の内部配線や回路はこんな感じです。ヴィンテージ風に仕上げたかったため、LEDやDCジャックはあえて省略しました。

内部配線
内部配線
電子基板
電子基板
ケース裏側
ケース裏側

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