最も簡単なFETバッファ回路【エフェクタ製作】

この記事では、ギターやベースで使えるFETバッファを紹介する。こちらがその回路図である。私が知る限り、これが最も簡単に低コストで作れて消費電流の少ない回路である。2SK303を使っているが、端子さえ気をつければ、2SK30Aなどの他のFETでも代用できる。

最も簡単なFETバッファ回路

Simplest FET Buffer schematic
Simplest FET Buffer schematic

項目
入力インピーダンス1MΩ
出力インピーダンス800Ω
消費電流0.2mA

9V電池(500mAh)であれば、なんと2500時間も稼働できる計算になる。こちらの記事で作ったオペアンプによるバッファ回路なんかは10mAもの電流を消費してしまうから、その差は非常に大きい。

出力インピーダンスは、トランジスタのエミッタフォロワやオペアンプのようには低くはならない。出力先の入力インピーダンスは10kΩ以上ないと波形は歪んでしまうので注意しておこう。出力インピーダンスの測定方法としては、出力に可変抵抗の負荷をかけ、1kHzの正弦波を入力して出力が1/2になるような負荷の値\(R_L\)を測定して計算した。

$$\frac{R_L}{Z+R_L}=\frac{1}{2}$$

より、

$$Z=R_L$$

である。

ちなみに、相互コンダクタンス\(g_m\)から導き出した出力インピーダンスは238Ωであった。詳しくはこちらの記事を参考に。

500mVppの正弦波の観察
500mVppの正弦波の観察

さて、500mVppの正弦波をバッファへ入力した時の出力の様子をオシロスコープで観察してみた。上の波形が入力、下が出力である。20kHz、1kHz、10kHzのすべてで歪みなくキレイに再現できている。ギターやベースのピックアップは、20Hzから6kHzあたりまでの再現しかできないのでバッファとしては十分な性能であると言えよう。

1Vpp以上の正弦波の観察
1Vpp以上の正弦波の観察

ただし、この回路において注意したいことが一点ある。それは、入力信号が1Vpp以上だと写真のように下側がクリップされてしまうことだ。

回路図を見てもらえば分かる通り、FETのゲートの1MΩがGNDに接地されているため、本来はプラス側の入力電圧しか通せない筈である。だから、下側がクリップするのは当然だ。

しかし、1Vpp以下の小信号においてはクリップされないため、ギター・ベースなどピックアップ出力のバッファにはちょうど良い。

よって、本来は1MΩをGNDではなくバイアス電圧へ接続するのが普通だ。しかしギターやベースの出力は、大きくても500mVpp程度だからバイアス回路を省略しても歪むことなく動作する。それに積極的に音を加工するエフェクターに使うなら、多少のクリップに神経質にならなくても大丈夫だろう。もちろん回路内にすでにバイアス回路を作っている場合は、1MΩをGNDではなくバイアスへ落とそう。

記事に関するご質問などがあればTwitterへお返事ください。
この記事で紹介した商品
エフェクタ製作オススメ商品

エフェクタ製作に必要なオススメの工具をご紹介します。

▼ こちらのはんだごては、温度調節ができるので幅広い用途で使えます。はんだごての台や、ハンダ吸い取り器もセットでお買い得です。

▼ 自作エフェクタ定番のアルミダイキャストケースです。加工しやすく、頑丈で安心。サイズもいろいろ選べます。

▼ 穴あけされてるエフェクタケースです。焼付塗装で完成度を高くできます。

▼ ジャック端子はある程度しっかりしたものを買いましょう。安ものはすぐヘタります。

▼ フットスイッチは一番負荷がかかる部品です。少し高くても、長く使いたいなら頑丈なものを選びましょう。

▼ ギターシールドなどに使うケーブルは、CANAREがオススメです。耐久性が良く、長持ちします。値段もお手頃価格です。

オススメの自作エフェクタ本

エフェクターの電子工作でオススメな書籍を紹介します。どちらの書籍も大塚明先生が書いたもので大変良書だと思います。残念ながら現在廃盤になってしまい品切れまたは高価格になっている可能性が高いですが、もし安く手に入るようなら買っておいて損はないです!

  • 専門的知識がない方でも、文章が読みやすくおもしろい
  • エレキギターとエフェクターの歴史に詳しくなれる
  • 疑問だった電子部品の役割がわかってスッキリする

こちらは別の方が書いた本ですが、写真や図が多く初心者の方でも安心して自作エフェクターが作れる内容となってます。実際に製作する時の、ちょっとした工夫もたくさん詰まっているので大変参考になりました。

関連記事