OCTOBUZZ オクターブファズの開発
ACETONE FM-2 や ハニーファズ(Baby Crying)、Univox SUPER-FUZZ、Ibanez WAV FUZZ などの回路を参考にしつつ、新井技研オリジナルのオクターブファズを開発しました。その名も「OCTOBUZZ」です♪
OCTOBUZZ の全体の回路図
OCTOBUZZ の回路の解説
OCTOBUZZの回路を機能ごとに、4つのパートに分けてみました。
①〜④の役割は以下のとおりです。
- バッファー、プリアンプ
- スプリッター、2倍音発生器、クリッピング
- トーン回路
- 音量調整、バッファー
①バッファー、プリアンプ
入力段はFET1石によるバッファー&増幅回路です。入力インピーダンスはR2の100kΩになります。わざと低めの入力インピーダンスにすることで、余分な高域成分を除去しています。出力の音量を可変抵抗で調整することで、次段でクリッピングされる量が変化します。つまりFUZZコントロールになりますy。ここでは「ざわめき音」が増すニュアンスを出すため「BUZZ」として命名してます。
②スプリッター、2倍音発生器、クリッピング
Q2のトランジスタは、正相と逆相の信号を同時に発生させるスプリッターです。出力インピーダンスは低くなさそうですが、エフェクター回路としては十分な性能で、簡単に実装できます。その後、それぞれの信号をQ3、Q4のトランジスタで信号の片側だけをクリップしてミックスさせます。これにより次のような波形が出力されます。
周波数が倍になったとも考えられ、実際に聴くとオクターブ成分が含まれていることがわかります。つまり2倍音発生器(オクターバー)の仕組みになるわけです。ACETONE FM-2 や ハニーファズ(Baby Crying)などに共通の仕組みであり、この手のエフェクタのサウンドを特徴付ける最も重要な回路部分です。
その後、この2倍音が含まれる信号を、ダイオードでクリップします。ダイオードにゲルマニウムまたはシリコンを使うかは、サウンドキャラクターを決定づける重要な要素でもあります。ゲルマニウムダイオードの場合は1N60を、シリコンダイオードの場合は1N4148が使用できます。
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③トーン回路
回路図の上の通り道では、二つの抵抗によって音量を下げているだけで、音色は変化されません。一方で回路図の下では、積極的に音色を変化させるトーン回路になってます。ハイパスフィルタとローパスフィルタを並列で結合したような回路になってます。つまり中域をカットするバンドエリミネーショフィルターのような役割になります。特定の周波数帯域だけを通過させるバンドパスフィルタとは逆の働きです。このトーン回路はスイッチで切り替えられるようになってます。実際に試聴するとトーンと呼ぶには控えめすぎる、強烈なサウンドに変化しますから不思議です。タコに墨をかけられたような別世界のサウンドに誘う意味を込めて、このスイッチを「INK」と名付けます。
④音量調整、バッファー
最終段はマスターボリュームで音量を調整しつつ、Q5のトランジスタで出力インピーダンスを下げて信号を送り出します。つまりバッファーの機能です。
以上がOCTOBUZZのサウンドを生成する回路の仕組みになります。ブロック毎に分けて考えると比較的理解しやすい回路だと思います。
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