信号を分岐するSplitter回路
オペアンプによるSplitter
Splitterとは、1つの信号を2つに分岐するエフェクタというか音響機材である。ラインセレクタやブレンダーなどがこの機能にあたる。
通常、信号をパッシブ回路で分岐してしまうと、出力先の機材によっては片方の音量が変わってしまう。そこで今回、FETとオペアンプによるバッファー回路を設けて電流増幅し、出力先の機材の影響を受けないように分岐させることに成功した。ミキサーの逆のような役割をするのがこのSplitterである。
回路図
回路図はこちら。ギターやベース出力を直接受けられるように、FETバッファーを入れた。インピーダンスを十分低くしたところで二股分岐に入る。出力先の機材の影響を受けないように、それぞれの信号をオペアンプでさらに緩衝する。 信号の音量が変えられると便利なので、可変ゲインを持たせてある。非反転増幅で位相を変えずに、1/11〜11倍に可変できる便利な回路。 この回路は大塚明先生の書籍を参考にさせてもらった。詳しくはこれらの書籍を参考に。
オペアンプのフィードバックに入っている10pFのコンデンサは発振防止のため。この回路は発振しやすいので入れておいた方が無難。
Splitterの使い道として、片方の信号にエフェクトをかけ、もう一方は原音を録音する方法。演奏は良いが、後からエフェクト音を変えたい場合がある。その時は、原音を「Re:AMP」→「エフェクタ」へと通して再度録音すればよい。
もちろん、それぞれの音にエフェクトをかけた後、ミキサー回路に突っ込めばブレンダーのような使い方もできる。 直接録音機材へ入力できるように5532を使用したが、他のオペアンプでも構わない。Phase Splitter(CE分割回路)
一石のトランジスタを使ってもっと簡単にSplitterを実現できる。ただし、位相は反転するし、出力インピーダンスは低くない。
回路図
反転出力と非反転出力を同時に得られるPhase Splitter回路がこちら。コレクタとエミッタからそれぞれ位相が180度ずれた出力が得られる。二相信号発生回路や、CE分割回路とも呼ばれる。
解説
増幅率は1倍。オシロスコープで観察すると、同じ振幅の位相反転した出力が確認できる。
この回路はバランス伝送に使われたりする。ただし、逆相の出力インピーダンスが高いため(10kΩ)バランス伝送を行う場合はバッファー回路が必要である。また、この回路の後に作動回路を入れて、オクターバ(2倍音発生器)を作ったもできる。Dan Armstrongが開発したGreen Ringerエフェクターでもこの回路が使われている。
今回もまたモジュール化してみた。トランジスタ回路の実験の場合、オペアンプと違って抵抗などの部品数が多くなるので、こういった細かい回路をモジュール化しておかないとブレッドボードが大変なことになる。「急がば回れ」とはまさにこのこと。 ところで、写真のようにモジュールの端子に色を塗る方法を思いついた。赤は+電源で、黒はGND、緑は入力、黄色は出力といったマイルールで色分けしている。ブレッドボード開発すると配線間違いが起こりやすく、よくオペアンプを飛ばしていた。色分塗りすることで配線間違いが減り、配線作業がグンと楽になった。
ちなみに、今回レジストペンの実験としてサクラの油性サインペンを使ってみた。細字のサインペンだと細かい配線がすごく楽に描ける。ベタ塗りの部分は通常のレジストペンを使った。実験の結果、サインペンでもエッチングに問題なさそうである。巷ではレジストペンの代用にマッキーを使ってる方もいるくらいだ。