LRローパスフィルタの伝達関数

LRローパスフィルタの伝達関数
LRローパスフィルタの伝達関数
この記事では、コイルLと抵抗Rを使ったローパスフィルタの伝達関数を求めていく。また、Pythonで伝達関数を使って周波数特性とステップ応答を調べていく。

ステップ応答についてはこちらで詳しく解説したので参考に。

はじめに

本記事を書くにあたって参考になった書籍をご紹介します。

LRローパスフィルタの伝達関数

LRローパスフィルタの回路図
LRローパスフィルタの回路図
それでは、回路図のようなLRローパスフィルタの伝達関数を算出してみよう。 回路図より、

$$v_i(t)=L \frac{di(t)}{dt}+v_0(t) \tag{1}$$

である。また、出力先の入力インピーダンスを無限大とすれば

$$i(t)=\frac{v_o(t)}{R} \tag{2}$$

である。式2を式1へ代入すると、

$$v_i(t)=\frac{L}{R}\frac{dv_o(t)}{dt}+v_o(t) \tag{3}$$

が成り立つ。ここで\(v_i(0)=0,~v_o(0)=0\)とし、両辺をラプラス変換すると

$$V_i(s)=\frac{Ls}{R}V_o(s)+V_o(s) \tag{4}$$

となり、伝達関数は

$$H(s)=\frac{V_o(s)}{V_i(s)}=\frac{1}{\frac{L}{R}s+1}=\frac{\frac{R}{L}}{s+\frac{R}{L}} \tag{5}$$

である。また、時定数は

$$τ=\frac{L}{R} \tag{6}$$

であり、カットオフ周波数は

$$f_c=\frac{R}{2πL} \tag{7}$$

である。

Pythonで周波数特性とステップ応答

伝達関数が求められたところで、Pythonで周波数特性とステップ応答を調べてみよう。コイルのインダクタンスLを1000uHとし、Rを1kΩとした。

py
from control.matlab import *
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

if __name__ == '__main__':
    R = 1000
    L = 1000 * pow(10, -6)  # uH
    T = L / R
    print(T)
    fc = R / (2 * np.pi * L)
    print(fc)

    G = tf([0, 1], [T, 1])  # 伝達関数
    print(G)
    W = logspace(4, 8)  # 対数スケールの配列
    bode(G, W, Hz=True)
    plt.show()

    y, t = step(G, np.arange(0, 0.00001, 0.0000001))  # ステップ応答
    plt.plot(t, y)
    plt.legend()
    plt.show()

LRローパスフィルタの周波数特性
LRローパスフィルタの周波数特性
LRローパスフィルタのステップ応答
LRローパスフィルタのステップ応答
プログラムを実行すると図のようなグラフがプロットされた。 計算すると、カットオフ周波数は約160kHzで、時定数は1μSとなった。 実は、Arduinoを使ったステップ応答法でコイルのインダクタンスを調べられるか確かめたかったのだ。こちらの記事で実験したように、コンデンサの容量測定は1000pF以上ならばArduinoでもかなり正確に調べることができる。

しかし、Arduinoの分解能が4μS程度なので時定数が1μSとなるコイルのインダクタンス測定は厳しい。また、例えば5Vのステップ電圧をかけた時の電流は\(I=\frac{V}{R}\)より、最終的に5mAの電流が流れる事になる。抵抗Rを1kΩ以下に小さくして、電流を多く流せば時定数は大きくなるが、今度はArduinoの出力電流許容範囲(20mA程度)を超えてしまう。また、MOSFETを使って大電流を流す方法も考えられるが、そうするとコイルに磁性が帯びて性能面で問題が出てしまうかもしれない。 もちろん、コイルのインダクタンスがもっと大きい場合はArduinoでも測定可能であろう。

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