バスレフポート設計とヘルムホルツ共鳴【自作スピーカー】



この記事ではバスレフポートの長さを計算する方法を紹介する。バスレフポートの長さはポート面積(Sv)、ポート共鳴周波数(fb)、ポート半径(r)、エンクロージャー容積(Vb)が分かれば可能だ。自作スピーカーのエンクロージャー設計や低音チューニングの参考になれば幸いである。




バスレフポート設計




そもそもバスレフポートの計算をしたかった理由は、以前製作したALTEC604-8Hの自作エンクロージャーのバスレフポートが間違っていないか確認したかったのだ。
製作したエンクーロージャーはALTEC620、614のキャビネットを参考にしており、ポート穴の大きさはだいたいそれと同じような大きさになるように設定しただけだった。
つまり何か数学的な根拠があってその大きさにしたわけでは無かった。

そこでALTEC604-8Hの自作エンクロージャーのパラメーターを使って、バスレフポート長さを計算してみることにした。

ALTEC604-8H自作スピーカーの記事はこちら

スピーカー製作!ALTEC 604-8Hのエンクロージャーを作ってみた【2ウェイ/38cm/同軸】


今回のバスレフポートの計算にあたって参考にさせてもらった本を紹介しておく。
かなりモダンな現代的設計方法で、他のスピーカー書籍には書かれていない内容が満載なのでオススメしておく。

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さて、この本に書かれているポートの設計理論に従って、自作エンクロージャーのポート長さを算出してみることにした。
この本によればポート長さL(cm)は次式で導きだされる。
$$L=\frac{30000 \cdot S_v}{f_b^2 \cdot V_b}-1.463r$$

Svはポート面積、fbはポート共鳴周波数、rはポート半径、Vbはエンクロージャー容積である。

この式に当てはめるためにはスピーカーユニットに関するデータを探す必要がある。
Altec 604-8Hはとても古いスピーカーユニットだから、なかなかデータが見つからない。
それでもなんとかネットを漁りまくって、次のようにパラメーターを決定することができた。


パラメーター 説明
Xmax (mm) 3.81
Re (ohms) 6.5
Vd (cm3) 314.6
fs (Hz) 28.1 ユニット単体の最低共振周波数
Qts 0.27 総合共振先鋭度
Qms 7.1
Qes 0.28
fb (Hz) 45.0 ポート共鳴周波数
Vb (l) 131 エンクロージャー容積
Sv(cm2) 90.0 ポート面積
r(cm) 5.35 ポート半径


ALTECスピーカーのパラメータ参考サイト

» Altec Thiele-Small Parameters


エンクロージャーの体積151リットルから補強やスピーカーなど除いた体積Vbを131リットルとして計算することにした。
すでに穴あけされたポート面積(Sv)は90cm2、また書籍で紹介されているポートは丸型だが、長方形ポートの面積と同等面積の円を仮定してその半径rを5.35cmとしている。


つまり、Vb=131(l)、Sv=90(cm2)、r=5.35(cm)、fb=45(Hz)として、先程のポート長さL(cm)の式、

$$L=\frac{30000 \cdot S_v}{f_b^2 \cdot V_b}-1.463r$$

に当てはめて計算したところ、ポート長さLは2.35cmという結果になった。

エンクロージャーの板厚が1.5cmなのでこの場合、ポート長さはほとんどいらないと言えよう。
Altecの620、614を参考に独自に設計したエンクロージャーだったが、うれしいことにバスレフの設計として大きく間違ってるということはないことが分かった。




低音の不思議


そもそもバスレフについて深く考えさせられるようになったのは、友人と八丈島でキャンプをしたのがきっかけだった。
友人がAnkerのモバイルスピーカーをあずまやの天井の柱に置いてピンク・フロイドの「Shine On You Crazy Diamond」を鳴らした瞬間に事件は始まった。

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(なんと音の良いことか。。。そしてこの小さなスピーカーから出ているとは思えないほどの低音のド迫力。。。)



どうもあずまやの屋根が共鳴板の働きをしているようだ。
スピーカーの位置を少しずらしたりすると随分と音の印象が変わるものだから面白い。

こうして私の中に低音への探究心が燃え上がる炎となっていったのだった。




ヘルムホルツ共鳴


さて、八丈島から帰り東京生活に戻ってもこれらのことが頭の中を巡っていた。

あのような小さなスピーカーで迫力のある低音が出るのはなぜなのだろうか?
その時ふと、飲み干したワインボトルのボトル口に息を吹きかけてみた。

(フーフー、ポーポー)

(ん?こんな小さなボトルでも低音って意外と出るんだなぁ。)

すぐさまこの音の周波数は一体どのくらいのものだろうかと知りたくなった。

オシレーターでさっそく調べてみると110Hzあたりの音が出てる感じ。

さらに音を録音して周波数解析してみると112Hzあたりにピークがあることがわかった。間違いない、こんな小さなボトルでかなりの低音が出ている。


(だとしたらコントラバスのような楽器のあの大げさな大きさは一体なんなのか。)


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さて、先程の共鳴の原理はヘルムホルツ共鳴というものだ。
意外とかんたんな数式で共鳴周波数を計算することができる。

$$f_H = \frac{C}{2π}\sqrt{\frac{A}{VL}}$$

記号 意味
C 空気中の音速
A 口の面積
L ネックの長さ
V 胴体の容積


さっそく先ほどのワインボトルの寸法を測って計算してみた。
すると129Hzという計算結果。
録音して周波数解析したものが112Hzだったから、寸法計測の誤差の範囲と言えるだろう。


ちなみに空気中の音の速度は次の式で表されるように温度によって変化する。(ただし、tは摂氏温度)

$$ c = 331.5 + 0.6 t (m/sec)$$


なぜヘルムホルツ共鳴が起こるのだろうか?

この共鳴の仕組みは次の通りだ。

まず、息を吹きかけるとネック部の空気が内部に押し下げられ、胴体の空気が圧縮される。
胴体の空気が圧縮されると当然、圧縮された分の反発が起こりネックの空気を追い出そうとする。
しかし圧縮された空気の分をぴったりと一度で押し戻すわけではなく、ネック部の空気に質量mがあるため慣性により多めに押し出すことになってしまう。
するとまたその分の空気は元に戻ろうとして胴体の空気を圧縮するのだ。

まさにバネの単振動とおなじような運動をするのである。この運動による空気の疎密波が空気中を伝わって我々の耳に聞こえるというわけだ。


結局バスレフの仕組みもヘルムホルツ共鳴を応用したものなので、ここら辺のことは覚えておいて損はないだろう。
それでは皆さま、楽しいスピーカーライフを!





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