エフェクターの測定や実験が便利になる!テストボックスの製作
自作エフェクタ製作における信号の測定や回路実験が便利になる「テストボックス」を作ってみました。オシロスコープと接続したり、ちょっとしたパッシブフィルタ回路を組んだりする時に重宝します。
TEST BOX MINIの構想
自作エフェクタ製作においてオシロスコープで波形を観察したり、抵抗など入れてインピーダンスを変えてみて波形変化を確認したりすることが多々あります。そこでテストボックスを作ってみました!
このテストボックスのインプット、アウトプットジャックのホットは短絡されておらず、バナナピンをショートさせることで導通されます。 よって、信号線に抵抗やコンデンサを挟んだり、信号線とGNDに負荷をかけたりできますので、ちょっとしたフィルター回路を組むことができます。 写真のようにオシロスコープで信号を観察することはもちろん、ブレッドボード上で組んだ回路などへセンドリターンするなどの応用も可能です。
スピーカーのバナナ端子(バインディングポスト)を利用しており、抵抗やコンデンサを挟んだりできますのでちょっとしたフィルター回路を組むことができます。下図のようにオシロスコープをはじめ、ブレッドボード上で組んだ回路などへセンドリターンするなどの応用も可能です。
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実際作って使ってみましたところなかなか便利だと思い、さらにフットスイッチをつけてBYPASSなどしたくなりました。また、BNCコネクタをつけた方がオシロスコープとの接続もより簡単になります。さすがにこのサイズのエフェクタケースでは小さすぎて拡張できませんので、改めてTEST BOXを作り直すことになりました。
MINIからTEST BOX V1.0へバージョンアップ
「TEST BOX V1.0」では、BNCコネクタを追加、フットスイッチによるBYPASS機能も追加してみました。
下図は配線イメージになります。
表面はラベルシールを貼り付けてクリアを吹いて処理しました。なぜか○○えもんの顔を彷彿させるようなデザインになってしまいましたが(笑)
実際に使っている様子です。下の写真ではベース(スタインバーガー)のリアピックアップのインピーダンスを測定している様子です。オシレーターとミリバルを使って簡単に測定できるようになりました。
TEST BOX V1.0の問題点
一番気にかけていたことですが「TEST BOX V1.0」の性能の問題です。具体的には「TEST BOX V1.0」自体が持つ周波数特性です。100kHzくらいまで測定できれば良いので低周波の領域ですが、浮遊容量(寄生容量)が気になるところでした。
LCRメータでHOT(TIP)GND間を測定する限りは、30〜40pF程度でした。ここら辺、BYPASSのフットスイッチを省略すればもっと精度は上がります。
さらにミリバルやオシロなどの測定機器へ繋ぐ場合、同軸ケーブルの浮遊容量も足されます。秋月電子通商さんで購入した50Ωの同軸ケーブル、50cmで浮遊容量60pFくらいあるので、信号のインピーダンスが100kΩ以上だと結構高域が削られます。
下図はアムトランスの金属皮膜抵抗の周波数特性を「TEST BOX V1.0」で測定してみたグラフです。
結果を見て最初驚きましたが、高価なアムトランスの抵抗値がまさかこんな性能なはずはなく。ハイ落ちの原因は、「TEST BOX V1.0」および、同軸ケーブルによる浮遊容量の影響に他なりません。抵抗値が高くなればなるほど、浮遊容量の影響が大きくなります。ですから、抵抗値と浮遊容量でローパスフィルタが形成され、高域がカットされます。
グラフ上の青色の線(100kΩの抵抗)では、キレイなRCローパスフィルターのグラフが描けてしまってます。 0.7V(-3dB)になるのが15kHz付近なので、抵抗器の浮遊容量成分をゼロとすれば、100kΩの抵抗に対しての静電容量は100pFあたりが算出されます。算出された100pFは、まさに「TEST BOX V1.0」と同軸ケーブルの浮遊容量を足し合わせた値と合致しました。
以上の検証により、「TEST BOX V1.0」でインピーダンスの高い実験回路を測定する場合には注意が必要ですが、10kΩ以下の低インピーダンスの低周波信号であれば問題ないように思われます。