±900mVミリボルト発生器の製作〜チャージポンプTJ7660、オペアンプ反転増幅回路
9V電池を使って-900mV〜+900mVまで可変可能な実験道具、ミリボルト発生器を作ってみました。オペアンプの動作確認に使ったり、アナログセンサの開発にとても便利な小信号DC電圧が作れます。使う素子は、チャージポンプとして有名なTJ7660と4558の一般的オペアンプの2石です。カンタンに作れます。
つかうもの
この記事でつかうものをご紹介いたします。
スイッチトキャパシタ電圧コンバータ(チャージポンプ)TJ7660
チャージポンプTJ7660は電源電圧からマイナス電源を作り出すことができます。たとえば9V電圧を供給したら、-9Vを出力してくれるといったICです。 外付けに10μFの電解コンデンサを2個を使用するだけで動作します。入力電圧の範囲は1.5~10V、出力電流は25mAです。また、内部のスイッチングによる発振周波数は10kHzです。変換効率は99.9%ですので発熱はほとんどありません。
オペアンプ 4558
正電圧とチャージポンプで作り出した負電圧の出力電圧を1/10にするために、オペアンプの反転増幅回路を使ってマイナスゲインを作ります。そのために4558を使用しました。入力インピーダンスの高いオペアンプであれば代用可能です。たとえばTL072など。
多回転可変抵抗トリムポット
可変抵抗だと細かな電圧調整ができませんので、多回転のトリムポットを利用します。100kΩを使用しました。
その他
その他に抵抗や電解コンデンサをいくつか使います。詳しくは次の回路図をご覧ください。
チャージポンプを使って±500mVで可変する実験
まずはチャージポンプを使って、±500mVで可変できるミリボルト発生実験を行いました。
動画
ミリボルト発生器の動画はYouTubeの アイデアノート channel で公開中です。
回路図
動画内のブレッドボードで組んだ回路図がこちら。USB電源の5Vをチャージポンプで±5Vへ変換し、オペアンプの反転増幅回路で1/10に減衰させる仕組みになります。非反転増幅回路ではR1とR2の抵抗の比で増幅率が決まります。
±900mVミリボルト発生器の製作
その後、このミリボルト発生器を電子工作で頻繁に使うようになり、ケースに収めたいと考えました。エッチングで基板を製作し、電池ボックス付きのケースへと収めました。
完成品
ケースはタカチのハンディー型プラスチックケース(ABS)を使用しました。LC135H-9V-Wという型番のもので、006Pの9V電池が収納できる仕様になってます。初めて使いましたが、とても便利ですこのケース。
表面の印字は、レーザープリンタによるトナー印刷とラベルシールによるものです。
動画
動画はYouTubeの アイデアノート channel で公開中です。実際に使っている様子を下記の動画でご覧いただけます。0Vから+900mVへ、そして-900mVへと進み再び0Vへ変化している様子が分かります。
回路図
先ほどの実験回路とほぼ同じですが、電源部分がUSB電源から9Vのバッテリーへ変更されています。これにより出力電圧も±900mVの範囲で可変できるようになりました。