VCFとエンベロープジェネレータ【モジュラーエフェクタ制作】
モジュラーシンセなどで使われるVCFとは「Voltage-controlled filter」の略で、電圧で制御するフィルタである。今回はこのVCFをシンプルな回路で作ってみた。また、CVを発生させるエンベロープジェネレータも合わせて作ったので参考にしてもらえればと思う。
VCF (Voltage-controlled filter)
こちらがVCFの回路図。ブリッジドT型バンドパスフィルタを使用して外部のCV(制御電圧)信号によりカットオフ周波数を変化できるようにしている。
通常のブリッジドT型バンドパスフィルタでは、トランジスタの部分を可変抵抗にすることでカットオフ周波数を変更できる。詳しい解説はこちらの記事を参考に。
トランジスタのベースに流す電流によって、コレクタ・エミッタ間に流れる電流を変化させることができる。これは、コレクタ・エミッタ間の抵抗値が変化するのと同じになる。トランジスタの抵抗値が大きくなりすぎるのを防ぐため、47kΩの抵抗で変化の上限を決めている。
CVには、後述するエンベロープ発生器の信号を入力する。
VCFは、グラフのようにカットオフ周波数の頂点が移動する。エフェクターのワウやオートワウはまさにこの原理で動いている。実際、今回紹介したVCFはオートワウ回路を流用したもの。
オペアンプ1つで作れるので、デュアルオペアンプのもう片側は4700pFのコンデンサを0.022uFに変更してVCFを2つ作った。
このVCF回路は位相が反転するので、原音とミックスする際には注意しよう。
Envelope Generator
こちらがCV(Control voltage)を発生させる回路である。ギターやベースの信号を受けれるようにするため、FETバッファにより入力インピーダンスを高く取ってある。
その後のトランジスタで過増幅しつつ、半波整流してコンデンサCに電流を蓄える仕組み。つまり、AC-DC変換を行っている。クランプ回路を使わなくても、ほぼ0Vを基準にDC動作するのも嬉しい。
コンデンサに電流を蓄える方向の量を調整すればAttackの変化になり、コンデンサの電流を逃がす方向の量を調整すればReleaseの変化となる。シンプルだが、非常に効果的。さらに一手間加えれば、DecayやSustainも作ることができる。挑戦してみたい方は、「Envelope generator ADSR schematic」などでググってみるとよい。
さて、最初のVCFとエンベロープジェネレータを組み合わせてギターやベースを演奏するとオートワウそのものになる。市販品のエフェクタに負けない立派な音色。作り甲斐があるエフェクタだ。
今回は実験用に使うため、VCFとエンベロープ発生器を分けて作ったが、1つにまとめてオートワウエフェクタにした方が使い勝手は良いだろう。