Phase Splitter(CE分割回路)【エフェクタ製作】
今回は、一石のトランジスタを使って反転出力と非反転出力を同時に得るPhase Splitter回路をご紹介。次がその回路図。コレクタとエミッタからそれぞれ位相が180度ずれた出力が得られる。二相信号発生回路や、CE分割回路とも呼ばれる。

Phase Splitter Schematic
増幅率は1倍。オシロスコープで観察すると、同じ振幅の位相反転した出力が確認できる。

オシロスコープで出力確認
この回路はバランス伝送に使われたりする。ただし、逆相の出力インピーダンスが高いため(10kΩ)バランス伝送を行う場合はバッファ回路が必要である。また、この回路の後に作動回路を入れて、オクターバ(2倍音発生器)を作ったもできる。Dan Armstrongが開発したGreen Ringerエフェクタでもこの回路が使われている。

Phase Splitter Midule
今回もまたモジュール化してみた。トランジスタ回路の実験の場合、オペアンプと違って抵抗などの部品数が多くなるので、こういった細かい回路をモジュール化しておかないとブレッドボードが大変なことになる。「急がば回れ」とはまさにこのこと。
ところで、写真のようにモジュールの端子に色を塗る方法を思いついた。赤は+電源で、黒はGND、緑は入力、黄色は出力といったマイルールで色分けしている。ブレッドボード開発すると配線間違いが起こりやすく、よくオペアンプを飛ばしていた。色分塗りすることで配線間違いが減り、配線作業がグンと楽になった。
ちなみに、今回レジストペンの実験として油性のサインペンを使ってみた。細字のサインペンだと細かい配線がすごく楽に描ける。ベタ塗りの部分は通常のレジストペンを使った。実験の結果、サインペンでもエッチングに問題なさそうである。巷ではレジストペンの代用にマッキーを使ってる方もいるくらいだ。

レジストペンとサインペン
エフェクタ製作オススメ商品
エフェクタ製作に必要なオススメの工具をご紹介します。
▼ ミュージシャンの方にお勧めされた白光のはんだごてを使ってます。少し高いと思われるかもしれませんが、もっと早く買っておけば良かったと思えるほど良いです。立ち上がりが早くてはんだごてのオンオフのストレスがなくなり、温度も熱くなりすぎないのでパーツを痛めることも少なくなりました。これ一本で基板のはんだ付けから、ジャックなど大きめのパーツもはんだ付けできます♪
▼ はんだで音が変わると言われるほどですので、ヴィンテージはんだから色々こだわる方もいらっしゃるかと思います。私はまだ研究しきれてませんので、とりあえず楽器、エフェクタのはんだ付けに定番のKESTER 44を使ってます。
▼ エフェクタケースはタカチかHAMMONDのケースになると思います。HAMMONDの方がエッジが立っていて、洗練されたデザインなので好きです(電波の発信源にはなりそうですが笑)。Amazonなんかで売られているのはHAMMONDの正規品ではなくクローンですが、使ってみて問題はない感じでした。
▼ ジャックやスイッチは故障しやすいので、少し高くてもそれなりのものを使ったほうが良いです。私が最近よく使っているのは、NEUTRIKのNMJ6HC-S、SWITCH CRAFTの12Aと12Bです。NMJ6HC-Sはサウンドハウスさんで安く手に入ります。12Aはプラグを抜くとスイッチがショートするタイプで、入力に使うと便利です。12Bはステレオなので電源スイッチと連動できます。
トゥルーバイパスでエフェクタ制作する場合は、フットスイッチをよく選んだ方が良いです。安物だとスイッチノイズが盛大にでます。どこのメーカーかは分からないのですが、端子が金メッキされているフットスイッチを選ぶとしっかりした作りなので安心できます。
オススメの自作エフェクタ本
エフェクターの電子工作でオススメな書籍を紹介します。どちらの書籍も大塚明先生が書いたもので大変良書だと思います。残念ながら現在廃盤になってしまい品切れまたは高価格になっている可能性が高いですが、もし安く手に入るようなら買っておいて損はないです!
- 専門的知識がない方でも、文章が読みやすくおもしろい
- エレキギターとエフェクターの歴史に詳しくなれる
- 疑問だった電子部品の役割がわかってスッキリする
他にも自作エフェクターで参考になりそうなこれらの書籍を紹介しておきます。