スイッチを押すたびに状態が入れ替わる双安定マルチバイブレータ

スイッチを押すたびに状態が入れ替わる双安定マルチバイブレータ

前回、トランジスタ2つを使って無安定マルチバイブレータという発振器を作ったが、今回はそれとよく似た「双安定マルチバイブレータ(Bistable multivibrator)」という回路を紹介する。

双安定マルチバイブレータの実験
双安定マルチバイブレータの実験

こちらのアニメ画像のように、スイッチを押すたびにLEDの点滅が切り替わる動作をする。つまり、0か1の状態を保持できるので、一時的な記憶装置と言える。実際メモリはこれらの回路を応用したものだ。

そんな、アナログとデジタルの狭間にあるような回路が双安定マルチバイブレータである。別名でフリップフロップとも呼ばれる。

双安定マルチバイブレータ回路図
双安定マルチバイブレータ回路図

今回実験した双安定マルチバイブレータ回路がこちら。あるエフェクタのフットスイッチ回路を参考に設計させてもらった。

もし、この回路を見て複雑だと感じたら、前回の無安定マルチバイブレータを先に見ると理解しやすい。

前回の記事はこちら。

無安定マルチバイブレータは勝手に発振してしまう回路だが、双安定マルチバイブレータでは発振を抑制し、その代わり外部のトリガによって2つのトランジスタのオンオフを入れ替えるようにできている。

2つの交差したトランジスタの回路がメインである双安定マルチバイブレータ回路だ。この回路の定数でうまく動作しない場合は、コンデンサC1〜C4の値を調整すると良い。特に、C1とC2が小さ過ぎても大き過ぎてもダメなようだ。

また、右上の回路がチャタリングを除去したトリガスイッチである。トリガスイッチの代わりに、トリガパルスを発生させる発振器に接続しても動作する。

回路図のOUTからは、LEDの状態と逆な状態のHighまたはLowの信号が得られる。

2回のトリガ信号を送ることで(2周期)、HighからLowへ切り替わる(1周期)ので、この回路を応用すると周波数を1/2にする分周回路として使うことができる。

エフェクタのダウンオクターバは、この仕組みを応用して作られている。

今回は、実験のため汎用トランジスタを使ったが、NAND回路を使ってもできるようだ。また、フリップフロップICも安く販売されているので、そのうちそれらも試してみたい。

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